フィルターの適用

  IIRフィルター

  Waveformモードでは波形にLPF(低域通過フィルター)、HPF(高域通過フィルター)をかけることが出来ます。 このフィルターは双二次フィルターで、https://webaudio.github.io/Audio-EQ-Cookbook で公開されているフィルター係数を用い、通過帯域では最大ゲイン0dBで平坦、カットオフ周波数で-3dBとなるようにしています。 双二次フィルターを1つ用いた場合2次、n個縦列使用した場合を2のn倍の次数としています。次数を高く設定するほどフィルターの 効果が大きくなります。バターワースフィルターでは通常2次でオクターブあたり-12dB、4次では-24dB...となりますが、このアプリ のフィルターでは4次以降は-12dBの倍数よりも減衰度合いは小さくなります。
  フィルターの適用方法は、まず Waveform ボタン右横の FiltOff  のボタンをタップします。そうするとボタンの表示が FiltOn に変わるとともに、下にHPFとLPFの設定スライダー、 解析画面上右端に次数設定ボタンが出現します。スライダーは緑の部分が通過、灰色の部分が遮断する周波数帯域になり、HPFとLPFの両方を 設定すると両方が緑の部分が通過帯域になります。スペクトログラム上の現在地を示すカーソルも通過帯域だけが表示されます。 音響再生時はフィルター処理後の波形で音が再生されます。またFFTの画面では黒線が処理前、赤線が処理後として表示されます。
  音響再生にフィルターの効果が反映されるのは Waveform モードの時のみです。

  図は小鳥の囀りが記録されているもので、その音が残るようにHPF 3kHz、LPF 6kHzに設定しています。次数は6次です。これで再生すると 周囲の低域雑音が低減されて小鳥のさえずりがより明瞭に聞かれます。Counterボタンを押すと周波数も計数出来ます。

  FFTフィルター

  フィルター次数を2次より下げるとFFTフィルターに変わります。これはまずFFTで周波数スペクトルを求め、そのスペクトルのうち LPFとHPFで遮断する帯域は0として、それを逆フーリエ変換し波形に戻したものです。 IIRフィルターのような位相の変化がないため波形にゆがみが生じないのが利点です。 ただし上記のIIRフィルターよりは計算時間がかかります。また例えば生体のフィルターを模するにはIIRフィルターの方が適している と思われます。音響再生時はIIRフィルターの場合と同様でフィルター処理後の波形で音が再生されますが。 FFTの画面ではフィルターの効果を表示する赤線は表示されません。