いびき・無呼吸の検査

いびき・無呼吸の検査方法としては、精密な睡眠ポリグラフ検査と、簡易検査とがあります。 それぞれ一長一短があります。

睡眠ポリグラフは必要な情報がすべて得られますが、病院に泊まる必要があり、環境が自宅と異なることで影響を受ける可能性があります。

簡易検査は自宅で日常と同じ環境で検査できるのが利点ですが、睡眠の質などの情報が得られません。

日中の眠気がある場合は、睡眠の質についての情報が必要であり、睡眠ポリグラフを受けることが望ましいと考えられます。 また簡易検査は、治療中に繰り返して効果を評価する方法として適しています。

睡眠ポリグラフ

無呼吸や低呼吸があるかどうか、睡眠時無呼吸症候群であるとすればどの程度であるかを調べる為に睡眠ポリグラフ(ポリソムノグラフ)という検査を行います。これは睡眠時無呼吸症候群の診断と治療方針の決定、治療効果の確認などにおいて最も重要な検査です。この検査では睡眠の状態、呼吸の状態、イビキの状態、身体の酸素の状態、身体の向き、などを同時に記録し、それぞれの関係を調べます。睡眠ポリグラフの実際

  1. 睡眠の質を調べる為に脳波、筋電図、眼球電図の電極を頭、目の横、額、耳、顎の皮膚に装着します。

  2. 睡眠中の呼吸の状態を観察する為におなかと胸にバンドをつけます。口と鼻には、息を感じとるセンサーをつけます。

  3. 首に気管音を録音する為のマイクをつけます。これによって呼吸の状態のほかイビキの強さ、質などがわかります。

  4. 指には酸素や脈を観察する為のセンサーをつけます。もしも、睡眠中に息が止まれば、体の中の酸素が低下し、逆に脈拍は上昇するといった現象が、繰り返されることがありますがそれを調べるものです。

  5. 胸に身体の向きを感知するセンサーをつけます。横向きの時にはイビキや無呼吸が軽くなる人と、そうでない人があるからです。

  6. このほか、足に周期性四肢運動を感知するための電極をつけます。周期性四肢運動は無呼吸とは別に、睡眠を妨げる可能性があるからです。

    この検査は線がたくさんつながるので多少窮屈ですが、寝返り、座る、立つことは出来ます。痛みや危険性は全くありません。

    随分と多くのセンサーを装着するので眠れないのではと心配される方がおられますが、心配には及びません。全く眠れないことはありません。1時間でも2時間でも眠っている部分について解析しますので、充分に睡眠がとれなかったため検査の結果の意味が無くなるような事はありません。



    この図は、閉塞型無呼吸の典型的な実例です。
    5分間の間に、40~50秒の無呼吸が4回繰り返され、それに伴い、脳波・筋電図上の覚醒反応、酸素の低下などが反復して認められます。



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簡易検査

簡易検査方法は、パルスオキシメータ、気管音検査、在宅睡眠時無呼吸検査などがあります。目的に応じて選択します。


パルスオキシメータ

非常に簡便な方法で、指先につける酸素のセンサーで、無呼吸・低呼吸にともなう血液の酸素飽和度の変化を検出します。 とくに肥満を伴っている場合、無呼吸・低呼吸により特徴的な酸素飽和度低下が繰り返されるので、 これだけでもかなり正確に無呼吸・低呼吸の有無や回数を知ることが出来ます。ただし肥満が無い患者さんではその検出感度が劣ります。

気管音検査

  南福岡病院で開発された方法で、頚部に接着したマイクロホンの信号をデジタル化してパソコンにより解析し、イビキの強さ、 基本周波数、無呼吸・低呼吸の回数とタイプ、CPAPの作動状況など非常に多彩な情報が得られる有用な方法です。



在宅睡眠時無呼吸検査

 睡眠ポリグラフを簡略化したもので、パルスオキシメータ、気流センサ、気管音センサ、などから構成されています。気流センサと気管音センサにより無呼吸が検出されます。体位センサ付きの装置の場合、体位(仰向きと横向き)の影響もわかります。弱点は睡眠を評価出来ないことで、眠っていなかったために睡眠時無呼吸が過小評価されたり、また逆に起きているときの呼吸の不規則(溜息呼吸など)を無呼吸と誤認して睡眠時無呼吸を過大評価する場合があります。


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